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ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重に与える影響

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こんにちは、黒田です。


すでに発売からかなりの時間が経過しましたが、ブレクスピプラゾールについて調べたことがないのを急に思い出しました。基本的な薬理作用としてはD2受容体の部分作動薬ですから、類似の作用機序を持ったアリピプラゾールとの比較を行った試験を取り上げます。直接的な治療効果を比べてあればよかったのですが、そういったものがなかったので代わりに副作用である体重増加に注目した文献を引用します1)

 

 

 

 

文献の内容

Summary

 

  • 統合失調症またはうつ病患者に対して、ブレクスピプラゾールを投与したとき、アリピプラゾールと比較して、体重に与える影響が異なるのか検討した、過去の研究データに基づく遡及的解析
  • 体重に与える影響は、両薬剤でほぼ同等あるいはブレクスピプラゾールでやや有利という程度の結果




Study design

  • P: 統合失調症またはうつ病患者
  • E: ブレクスピプラゾール
  • C: アリピプラゾール
  • O: 体重変化
  • T: 過去の研究データを利用した解析




Result

体重変化に関する結果はFig. 1に示されているので、下に引用。おおむね、体重変化はブレクスピプラゾールで少ない傾向にあると読み取れそう。







コメント

体重増加は用量依存的な副作用と考えられますから、両薬剤の用量を揃えたうえで比較することが望ましいといえます。ブレクスピプラゾールの標準用量は2mg/day、一方のアリピプラゾールは6-24mg/dayと幅があります。


試験で用いられている用量を見てみると、統合失調症を対象にしたデータではアリピプラゾールは日本におけるmax用量である30mg/dayとなっている一方、ブレクスピプラゾールは1-4mgです。ブレクスピプラゾール群がどのような用量内訳になっているのか不明ですので何ともいえないところはありますが、総合的にみてややアリピプラゾールに不利なバイアスが入っている可能性があると思われます。


うつ病対象のデータについては、両薬剤とも用量にかなり幅があり、あまりはっきりしたことはいえないように見えます。


こうしたことを考え合わせれば、ブレクスピプラゾールはアリピプラゾールと比較して、体重に与える影響は互角か若干優れている、くらいに解釈できそうです。今後は、症状改善効果のほか、アリピプラゾールが比較的アカシジアを生じやすい薬物なので、この副作用の頻度がどのくらい違うのかも気になるところです (発症頻度の関係上、はっきりしたデータを示すのは難しいかもしれませんが)。



では、また次回に。



Reference

  1. Weiss C, et al. The effects of brexpiprazole and aripiprazole on body weight as monotherapy in patients with schizophrenia and as adjunctive treatment in patients with major depressive disorder: an analysis of short-term and long-term studies. Int Clin Psychopharmacol. 2018 Sep;33(5):255-260. PMID: 29878915






 


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