こんにちは、黒田です。
今回は、これまで紹介していなかった研究デザインを1つ見て行きましょう。
その名を「コホート内症例対照研究 (Case-Control Study within a Cohort)」と言います。
◆どのようなデザインなのか?
コホート内症例対照研究は、まずコホート研究と同じ要領で被験者をリクルートし、追跡します。この過程でターゲットにしている疾患を発症した被験者を、症例 (case) 群とします。
一方で、発症しなかった被験者の中から対照 (control) 群を選び、これらを症例対照研究の方法で解析します。
◆メリットとデメリット
被験者をリクルートする時点で、交絡因子の調整を行うことができるので、通常の症例対照研究と比較して、研究結果の妥当性が高くなりやすいです。
また、データ収集にあたって検査などを行う必要がある場合には、リクルートした全員に行う必要がない分、手間とコストが少なくて済みます。
調査を行う場合にも、症例および対照群に選ばれた被験者のみについて行えばよいので、この点でも手間が減ります。これらがメリットと言えるでしょう。
デメリットとしては、基本的にはコホート研究と同様です。
例えば、あらかじめリクルートした被験者の中からターゲットの疾患を発症しないとならないため、希少な疾患の調査には不向きと言えるでしょう。
◆他の呼び方
「シンセティック・ケース・コントロール研究 (Synthetic Case-Control Study)」や「ネステッド・ケース・コントロール研究 (Nested Case-Control Study)」も同じ意味です。
Reference 竹内 久朗他 コホート研究とケース・コントロール研究 ―研究デザインの最近の動向― 薬剤疫学 Jpn J Pharmacoepidemiol, 18(2) Dec 2013:77
・コホート内症例対照研究は、コホート研究と症例対照研究の手法を併せたデザインである
・通常のコホート研究と比較してコストがかかりにくいのがメリットである
では、また次回に。
○今回のまとめ