こんにちは、黒田です。
キノロンと言えばQT延長が有名ですが、案外臨床上は問題にならないのかもしれません。それに関係する論文を批判的吟味しました。
Abstract
デンマーク人およびスウェーデン人に、キノロンを使用すると、ペニシリンVを使用した場合と比較して、重篤な不整脈の頻度が変化するか検討した、コホート研究
デザイン面に大きな問題なし
処方後の日数で3段階で層別化して検討されているが、いずれも薬剤間に有意差がなかった。
Study design
P: population of all Danish and Swedish adults, aged 40 to 79 years (40-79歳のデンマーク人およびスウェーデン人)
E: 909656 courses of fluoroquinolone use (キノロン使用。N=909656)
C: 909656 courses of penicillin V use (ペニシリンV使用。N=909656)
O: The main outcome was risk of serious arrhythmia (fatal and non-fatal) (主要評価項目は、重篤な不整脈)
T: cohort study (コホート研究)
交絡因子の調整:傾向スコアによるマッチングが行われている。年齢、性別、季節、合併症、併用薬などが評価されている。
Result
主要評価項目である、重篤な不整脈発症率は、直近の使用で (処方後0-7日) それぞれ以下の通り (/1000人年)。
フルオロキノロン:3.4
ペニシリンV:4.0
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、0.85 (0.61 to 1.18) と有意差がなかった。
同様に、それぞれの期間で以下の通りの結果であった。
処方後8-14日
フルオロキノロン:2.5
ペニシリンV:2.2
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、1.13 (0.71 to 1.78) と有意差がなかった。
処方後15-44日
フルオロキノロン:1.8
ペニシリンV:1.7
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、1.08 (0.83 to 1.42) と有意差がなかった。
Reference
Inghammar M, et al. Oral fluoroquinolone use and serious arrhythmia: bi-national cohort study. BMJ. 2016 Feb 26;352:i843. PMID: 26920666
コホート研究とはいえ、これほどN数が多く、傾向スコアによるマッチングも行っていることを考慮すると、かなり確からしい因果関係があるようにも感じます。
では、、また次回に。
キノロンと言えばQT延長が有名ですが、案外臨床上は問題にならないのかもしれません。それに関係する論文を批判的吟味しました。
経口キノロンと不整脈の関係
Abstract
デンマーク人およびスウェーデン人に、キノロンを使用すると、ペニシリンVを使用した場合と比較して、重篤な不整脈の頻度が変化するか検討した、コホート研究
デザイン面に大きな問題なし
処方後の日数で3段階で層別化して検討されているが、いずれも薬剤間に有意差がなかった。
Study design
P: population of all Danish and Swedish adults, aged 40 to 79 years (40-79歳のデンマーク人およびスウェーデン人)
E: 909656 courses of fluoroquinolone use (キノロン使用。N=909656)
C: 909656 courses of penicillin V use (ペニシリンV使用。N=909656)
O: The main outcome was risk of serious arrhythmia (fatal and non-fatal) (主要評価項目は、重篤な不整脈)
T: cohort study (コホート研究)
交絡因子の調整:傾向スコアによるマッチングが行われている。年齢、性別、季節、合併症、併用薬などが評価されている。
Result
主要評価項目である、重篤な不整脈発症率は、直近の使用で (処方後0-7日) それぞれ以下の通り (/1000人年)。
フルオロキノロン:3.4
ペニシリンV:4.0
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、0.85 (0.61 to 1.18) と有意差がなかった。
同様に、それぞれの期間で以下の通りの結果であった。
処方後8-14日
フルオロキノロン:2.5
ペニシリンV:2.2
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、1.13 (0.71 to 1.78) と有意差がなかった。
処方後15-44日
フルオロキノロン:1.8
ペニシリンV:1.7
ペニシリンVを基準とした発症率比 (95%CI) は、1.08 (0.83 to 1.42) と有意差がなかった。
Reference
Inghammar M, et al. Oral fluoroquinolone use and serious arrhythmia: bi-national cohort study. BMJ. 2016 Feb 26;352:i843. PMID: 26920666
コホート研究とはいえ、これほどN数が多く、傾向スコアによるマッチングも行っていることを考慮すると、かなり確からしい因果関係があるようにも感じます。
では、、また次回に。